乃木坂46・2期生の鈴木絢音さんは、乃木坂46随一の読書家として知られています。
そのため、乃木坂46としてデビューして以来、公式ブログを始めとする数々の媒体でおすすめの本を紹介しています。
そこでこの記事では、PART1として「2015年に公式ブログで紹介した本」を紹介してみましょう。
鈴木絢音さんが2015年に公式ブログで紹介した本たち
ここでは、鈴木絢音さんが「乃木坂46公式サイト」内の「乃木坂46公式ブログ」で触れた本を紹介します。
2015年に紹介された本は、全部で8冊
2015年に、鈴木絢音さんは公式ブログで8冊の本を紹介しました。
8冊中5冊がSF作家の筒井康隆の作品で、この年は紹介する本にかなり偏りのある1年となっています。
時をかける少女(筒井康隆)
1冊目は、筒井康隆さんの「時をかける少女」です。
この作品は、1965年から1966年にかけて学研の学年誌で連載されていたSF小説です。1967年に鶴書房盛光社から出版されましたが、有名になったのは1976年に角川書店から出版された後、1983年に大林宣彦氏が監督、原田知世さん主演で映画化されてからのことでしょう。
そして、その後も数度に渡って映画化・ドラマ化されている、名作中の名作です。
鈴木絢音さんは、この本を「1番好きな本」として紹介しています。
その上で「普段あまり読書をしない方に 短編で読みやすいこの本をオススメすることが多いです。」としています。
確かに、角川文庫から出ている新装版のページ数は182ページとなっており、親しみやすい内容も相俟って非常に読みやすい1冊といえます。
星の王子さま(サン・テグジュペリ)
2冊目は、フランスの作家、サン・テグジュペリの「星の王子さま」です。
鈴木絢音さんは、「最近読んだ本」「久しぶりの翻訳本」としてこの1冊を紹介しています。
「小さい頃 この小説の意味が理解できませんでしたが 今読み返すと考える事、悩む事の大切さを知る事ができます。」とのこと。
「星の王子さま」というと、読んだことのない人にとっては「子供が読む幼稚な本だろう」と思われがちですが、内容は非常に奥が深いです。
キーワードになるのは「大切なものは、目に見えないという」、王様が地球で会ったキツネのセリフです。
つまり「星の王子さま」という作品は、様々に寓話化されたエピソード・大人や社会を風刺化したエピソードを通じて、子供の心を忘れた大人を戒めるような内容になっています。
鈴木絢音さんが「小さい頃、この小説の意味が理解できませんでした」と言っているように、実は大人こそが読むべき本かもしれません。心の疲れた大人がこの本を読むと、魂が揺さぶられること請け合いです。
モナドの領域(筒井康隆)
3冊目は、「時をかける少女」と同じ筒井康隆氏の作品「モナドの領域」です。
鈴木絢音さんは、「私にはモナドという言葉の理解が難しく さらに主人公が人間ではない不思議な小説でしたが 読み始めると止まらない作品」とした上で、「皆さんも是非読んでみてください」と薦めています。
この「モナドの領域」は、著者の筒井康隆氏自ら「わが最高傑作にして、おそらくは最後の長編」と述べています。その内容は、非常に難解です。
河川敷で片腕が発見されるところから始まる物語は、一見バラバラ殺人事件を取り上げたミステリー小説かと思われがちですが、そこから展開していく話は哲学・論理学・神学などの要素が縦横無尽に入り乱れ、やがては宇宙論にまで発展していきます。
筒井康隆氏のSF小説が好きな方はハマるでしょうが、読書経験が少ない人や知識・教養の下敷きがない人は、投げ出してしまうかもしれません。
この本に15歳にして挑戦していた鈴木絢音さんは、ある意味さすがと言えます。
夜叉ヶ池(泉鏡花)
4冊目は、泉鏡花の「夜叉ヶ池」です。
泉鏡花は、明治後期から昭和初期にかけて活躍した作家。女性と思われがちですが、男性です。怪奇趣味とロマンティシズムに彩られた幻想的な作風で知られています。
この「夜叉ヶ池」は戯曲、つまりお芝居の台本で、泉鏡花が初めて書いた戯曲と言われています。
「夜叉ヶ池」は人間界と異世界の約束と、男女の悲恋を描いた作品です。
人間は水害をもたらす龍神を夜叉ヶ池に封じ込め、人間との約束を思い出させるために1日3回鐘を突く必要がありました。ある日村人は雨乞いのため、龍神の生贄を差し出すことになりますが、この生贄に選ばれたのが、鐘守である萩原の妻・百合。
村人は萩原らの留守中に百合を強引に連れ出すのですが、それに気づいた萩原と村人はいさかいになり、これを悲観した百合は自害してしまいます。
怒った萩原は憧木の縄を切って鐘が突けないようにした百合の後を追いますが・・・という内容です。
大正初期の作品なので、口語体ではあるもののやや読みにくい文体です。既に著作権が切れているので、「青空文庫」などのアプリで無料で読むことが出来ます。
旅のラゴス(筒井康隆)
5冊目は、またまた筒井康隆の「旅のラゴス」です。
鈴木絢音さんは、ファンからの「筒井康隆さんの作品のベスト5を教えてください」という問いに対して、「時をかける少女」「旅のラゴス」「モナドの領域」「こぶ天才」「傾いた世界」の5冊を上げています。
この5冊に対して順位はついていませんが、「1番好きな本」と公言している「時をかける少女」が1番上に来ていますので、上から順番にベスト5、ということなんだろうと思います。
この「旅のラゴス」は、1984年から1986年にかけて「SFアドベンチャー」で連載されていたものです。
内容は、高度文明を失った代償に超能力を獲得した人々が住む「この地」で、2度も奴隷の身に落とされながら主人公のラゴスが生涯をかけて旅をする目的とは・・・というものです。
SF小説としては比較的読みやすい部類に入るため、SF小説初心者・筒井康隆初心者には向いていると思います。鈴木絢音さんが大好きと言って憚らない筒井康隆作品に触れてみたい、というファンの方は、「時をかける少女」か、この「旅のラゴス」から入ると良いでしょう。
こぶ天才(筒井康隆)
6冊目は、筒井康隆の「こぶ天才」です。
「こぶ天才」は「宇宙衞生博覽會」に収められた8編の中の1編です。「最後の喫煙者 自選ドタバタ傑作集1」にも収められています。
「宇宙衞生博覽會」は、筒井康隆の最高傑作であるという人がいる一方で、悪趣味で読むに耐えない、という声も聞かれます。どちらかは読む人の判断に委ねられますが、エログロナンセンス的な作風が苦手な人は、避けた方が良いかもしれません。
この作品を15歳で読んでいる鈴木絢音さんは、やはり只者ではありません。
「こぶ天才」の内容を説明するのは極めて難しいですが、「背中につけると天才になることができる虫『ランプティ・バンプティ』を販売する売店の男の話」です。どうしても内容が知りたい人は、ぜひ買って読んでみてくださいね。
傾いた世界(筒井康隆)
7冊目も、筒井康隆の「傾いた世界」です。
「傾いた世界」は、「傾いた世界 自選ドタバタ傑作選2」などに収められています。
内容としては、海上に存在する「マリン・シティ」という都市が水平状態から徐々に傾いて行く・・・というものです。傾きが大きくなるほどに生じる異常現象を、ユーモアたっぷりに描いています。
筒井康隆のSF小説を初めて読む場合、短編集から入ると入りやすいかもしれません。ただし「こぶ天才」のように、クセの強いものから入ると挫折しやすいです。この「傾いた世界」は、比較的読みやすい短編かもしれません。
深夜特急(沢木耕太郎)
8冊目は、沢木耕太郎の「深夜特急」です。
これは13thシングル「今、話したい誰かがいる」の特典映像である鈴木絢音さんの個人PV「poetry」の中で読んでいる本について、ファンからの質問に答えたもの。
つまりこの個人PVの中で、鈴木絢音さんは沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでいる、ということです。
沢木耕太郎の「深夜特急」は、あまりに有名過ぎる本なので、読んだことのある人は多いと思います。
内容は、著者の沢木耕太郎がインドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗り合いバスで旅をした際のルポタージュです。元々は産経新聞に連載されていましたが、完結しないまま連載は終了。その後1986年から1992年にかけて新潮社から3巻まで刊行されました。
この本に触発されてバックパッカーになった人は、本書刊行当時から現在に至るまで、数えきれないほどいることでしょう。
どちらかと言えば、若い時にこそ読むべき本だと思います。
まずは「時をかける少女」から読んでみよう!
以上、鈴木絢音さんが2015年に紹介した本8冊を取り上げました。
冒頭にも触れたように、この年に紹介したものは筒井康隆の本に大きく偏っています。
しかし筒井康隆の本は少々クセが強く、読書に慣れていない人や、SF小説に馴染みのない人にとっては極めて読みにくいと思います。
今回紹介した本の中で、1番読みやすいのは「時をかける少女」でしょう。これは鈴木絢音さんが「1番好きな本」と言っていることもあり、鈴木絢音さんファンであれば最初に手に取るべき1冊だと言えます。
「星の王子さま」は、きれいな心を取り戻したい大人・人生に疲れた大人におすすめです。「深夜特急」は比較的誰にでもおすすめ出来る本ですが、旅が好きな人にとってはたまらない内容ですね。
気に入った一冊をぜひ読んでみてください。
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